7月23日、「理美容甲子園2026 第18回理容美容学生技術大会 関東地区大会」が開催されました。
関東地区大会は関東地区の7県から35校が集い、全国大会への出場権を懸けて技術を競う大きな舞台。アイム湘南理容美容専門学校からも、各競技に向けて練習を重ねてきた学生たちが出場しました。
結果は、6部門で1位を獲得。さらに2名が2位に入り、計8名が全国大会への出場を決めました。
しかし、今回お伝えしたいのは結果だけではありません。
大会前日の夜から学生たちと行動をともにすると、そこには本番を迎えるまでの葛藤や緊張、学生を支える先生方の想い、そして嬉しさと悔しさが入り交じる、さまざまな瞬間がありました。
全国大会への切符を懸けた学生たちの24時間。

大会前日から大会当日までの24時間の様子を、前日の夜から振り返ります。
大会前夜、まだ本番の空気にはなり切れていなかった大会前日、学生たちはバスで宿泊先のホテルへ向かいました。
移動中は友達との会話が弾み、車内にはいつもの学生らしい賑やかな空気が流れていました。

ホテルに到着して夕食を済ませ、20時からは練習がスタート。翌日に本番を控えた最後の調整です。
ところが、複数の機材を同時に使用することでブレーカーが落ちるなど、思いがけないトラブルも重なりました。集中して自分の課題に向き合う学生がいる一方、思うように練習が進まず、集中しきれない学生も。
移動から続いていた和やかな雰囲気もあり、全体としてはまだ「本番前夜」の緊張感が十分に行き渡っているとは言い切れない空気がありました。その様子を見ていた先生から、学生たちへ厳しい言葉が掛けられます。
「そんな態度なら出場しなくていい」空気が変わった瞬間

「やる気が感じられない。そんな態度であれば出場しなくていい」先生から学生たちへ投げ掛けられた厳しい言葉。会場の空気が一変しました。
涙を流す学生。
「やらせてください」と訴える学生。自分たちの行動を振り返り、言葉を失う学生。反応はそれぞれでした。
ただ、その場にいた学生たちに共通して突きつけられたのは、「何のために、この大会に出るのか」ということだったように感じます。
これまで何度も練習を重ねてきました。思うような作品ができず、やり直した日もあったはずです。先生方も、学生一人ひとりと向き合いながら技術向上を目指すよう指導してきました。

全国大会への出場権が懸かった関東地区大会。
ここまで積み重ねてきた時間を、最後の気の緩みで終わらせていいのか。先生の言葉は、大会へ臨む学生たちの「覚悟」を改めて問うものだったのではないでしょうか。
その後、学生たちは身だしなみを整え直し、それぞれの練習へ戻っていきました。先ほどまでとは違う表情で、再びウィッグや道具と向き合います。
「練習してきたことを信じて」

練習の最後には、先生方から大会当日の流れや注意事項、採点に関わるポイントなど、最後の確認が行われました。
そして、先生方から学生たちへ言葉が送られます。
「練習してきたことを信じて。」
「練習してきたこと以上は出ません。頑張って。」
「今まで頑張ってきたことを出し切って。」
そして、「悔いのないように、嬉し涙を流してください。」

技術を教えてきた先生方だからこそ、学生たちがどれだけ練習してきたのかを知っています。
できなかったことができるようになった瞬間も、うまくいかず落ち込んだ日も、一番近くで見てきました。
あとは、自分が積み重ねてきたものを信じるだけ。そうして大会前夜の練習を終えました。
昨日とは違う朝
そして迎えた7月23日、大会当日。学生たちは朝から練習を始めていました。

中には、食事の時間も惜しいと感じるほど、最後の確認に集中する学生の姿もありました。大会前夜とは、明らかに違います。黙々と手を動かす学生たち。
一分一秒でも技術を確認したい。少しでも良い状態で本番を迎えたい。
そんな気持ちが、練習する姿から伝わってきました。いよいよ、勝負の時間が近づきます。
◆関東地区35校が集う大舞台へ

会場に到着し、選手たちが入場。開会式が始まると、会場は大きな拍手と熱気に包まれました。
参加校は35校。
各校の学生が一列に並び、順番に学校名が呼ばれていきます。
「アイム湘南理容美容専門学校」
学校名が呼ばれると、学生たちは全員で深く一礼。「よろしくお願いします!」大きな声が会場に響きました。
応援席からは「頑張れ!」という声が飛びます。いよいよ、全国大会への切符を懸けた競技が始まります。

歓声の中で、勝負が始まった
最初に行われたのは、美容カット、理容ミディアムカット、まつ毛エクステンションの3競技。選手が入場すると、応援席から大きな声で名前を呼ぶ学生たち。声援に手を振り返す選手もいました。
しかし、自分の競技スペースへ到着すると、その表情は一変します。
先ほどまで手を振っていた学生も、真剣な表情で目の前の競技へ向き合います。

応援席と競技フロア。距離は近くても、そこにはまるで違う空気が流れていました。
今回の大会で特に印象的だったのは、その「熱量」です。
静かな会場で黙々と競技が進むのではなく、BGMが流れ、応援席からは大きな声援が響きます。まるでスポーツの試合を見ているような迫力。

クラシカルバックバリエーションセット、アップスタイル、ネイルアート。
そして最後は、理容ワインディング、美容ワインディング。仲間が競技フロアへ入るたび、アイムの応援席から名前を呼ぶ声が飛びました。競技を終えた学生たちも、すぐに仲間を応援する側へ。
この日は、競技後に自分の作品を振り返る学生よりも、次に挑む仲間へ声援を送る学生の姿が多く見られました。

学生以上に緊張していた先生たち
もう一つ、これまでの大会とは違って見えたものがあります。それは、先生方の表情でした。
担当する学生の競技が始まると、競技フロアをじっと見つめる先生たち。
落ち着かない様子で競技を見守る姿からは、学生以上に緊張しているのではないかと思うほどの想いが伝わってきました。

学生たちと一緒に作品を作り上げてきた先生方にとっても、この日は大切な本番。
「良い結果を残してほしい」
その気持ちは、言葉にしなくても十分に伝わってきました。学生だけが戦っているのではない、先生方もまた、応援席から一緒に大会を戦っていました。

結果が見え始める、作品展示の時間
各競技が終了すると、その都度審査時間に入り、審査員が競技フロアで一つひとつの作品を確認していきます。学生たちは応援席からその様子を見守り、自分たちの作品の前で審査員が足を止めると、思わず反応する場面もありました。

すべての競技と審査が終了した後、表彰式を前に全競技の作品が展示されました。学生たちは、自分の作品と他校の作品を見比べながら結果を予想します。
「入賞できているかもしれない」と手応えを感じる学生。
自分では判断できず、先生に確認する学生。他校の作品の完成度に圧倒され、自分との差を実感する学生。反応はさまざまでした。

先生方も同じように作品を見比べながら結果を予想し、優れた作品を写真に収めていました。学生たちも気になった作品を撮影し、次の技術向上につなげようとしていました。作品展示の時間は、結果を待つ時間であると同時に、他校の技術から学ぶ貴重な時間にもなっていました。
この大会に懸けてきた、それぞれの想い
関東地区大会のおよそ1か月半前。大会へ挑む学生のうち、3名に話を聞いていました。
美容カットに出場する高等課程3年生の青木優河さん。

関東地区大会へ向けた目標を尋ねると、迷うことなく答えました。
「全国大会出場!」
青木さんにとって、大会へ向けて練習するのは今年で2年目。昨年も出場しましたが、目標としていた結果には届きませんでした。美容カットのグラデーションボブでは、サイドのラインや左右のバランスなど、細部まで高い完成度が求められます。2年間、その技術と向き合い続けてきました。
理容ミディアムカットに出場した髙橋沙優さん。

「今年こそは全国に行く!」と話していました。髙橋さんが支えになっている人として名前を挙げたのが、金子先生です。学校では毎日作品を見せ、技術的なアドバイスを受けてきました。うまくいかないところは厳しく指導する。それでも、良いところはしっかり褒めてくれる。その言葉が精神面でも支えになっていると、髙橋さんは話していました。
そして、まつ毛エクステンションに出場した久保田柚希さん。

昨年も同じ競技に出場し、結果は敢闘賞。だからこそ、今年の言葉は力強いものでした。
「リベンジ。絶対全国にいきます!」
昨年の大会後も、毎日20分の練習を継続。苦手だったテーピングについては、3分ほどの工程を1時間繰り返すこともありました。慣れない会場で手が震えることへの不安から、普段から練習場所を変え、どこでも同じ技術を出せるよう工夫してきました。大会への強い想いを持っていたのはインタビューをした3人だけではありません。
2度目の関東地区大会となる内田紫月さん。

昨年は別競技で挑戦しましたが、出場することは叶いませんでした。
今回はネイルアートに初挑戦。初挑戦のネイルアートで全国出場を目指して大会に挑みました。アップスタイルに挑んだ大貫空さんには、昨年全国大会へ進んだ先輩への憧れがありました。
前日の練習では、思うような作品を作ることができず、金子先生から厳しい言葉も掛けられていました。

全国へ行きたい。
昨年の悔しさを晴らしたい。憧れの先輩のようになりたい。支えてくれた人に結果で応えたい。
同じ会場に立っていても、学生一人ひとりが背負っている想いは違います。
そして、その想いへの答えが出る時間がやってきました。
名前を呼ばれるたび、歓声と涙が広がった

閉会式、そして表彰式。
学生たちは結果発表を待ちます。祈るような表情で、自分の名前が呼ばれるのを待つ学生。敢闘賞で名前を呼ばれ、目標としていた全国大会へ届かなかったことに肩を落とす学生。
最後まで名前が呼ばれず、「次、絶対私だ」と1位を信じて待つ学生もいました。

そして、次々とアイムの学生の名前が呼ばれていきます。
ネイルアート1位、内田紫月さん。
美容カット1位、青木優河さん。
美容ワインディング1位、沖美咲さん、2位、白阪世生さん。
理容ワインディング1位、堰合ゆらさん。
アップスタイル1位、大貫空さん。
クラシカルバックバリエーションセット1位、稲野邉和花さん、2位、山下愛花さん。
全国大会への出場権を獲得したのは、8名。表彰式を終えると、先生と抱き合う学生の姿がありました。
「ありがとうございました」
涙を流しながら、これまで支えてくれた先生へ感謝を伝える学生もいました。大会前夜、先生から掛けられた、「悔いのないように、嬉し涙を流してください」という言葉。
その翌日、本当に嬉し涙を流す学生たちがいました。
結果が出た瞬間、それぞれの物語が動いた

中でも、大粒の涙を流していたのが青木優河さんでした。ずっと、美容カットに向き合ってきた青木さん。6月のインタビューでは、「全国大会出場!」と力強く目標を語っていました。
そして今回、美容カット1位。目標としていた全国大会への切符を、自分の手でつかみました。
大会後、青木さんはこう話しました。「今までは悔し涙だったけど、今回は嬉し涙を流せた!」その涙を見て、先生方も思わずもらい泣きしたそうです。
そして、ネイルアートで1位となった内田紫月さん。

昨年の悔し涙から向かえる最後となる関東地区大会でした。これまでは違う競技で挑戦しながら、出場にすら届きませんでした。
そして念願の大会出場。
初めて挑戦したネイルアートで1位。全国大会への切符をつかみました。
作品展示の段階では、先生も「入賞できるか微妙なラインかもしれない」と感じるほど、周囲の作品も高いレベルだったそうです。その中で勝ち取った1位と全国大会出場。挑戦を続けた末に結果が実り、自分の得意な技術と出会えた瞬間でもありました。
アップスタイル1位の大貫空さんにも、前日からの物語があります。

前日の練習では、緊張からか思うような作品を作れず、金子先生から「このままでは全国には行けない」と厳しい言葉を掛けられていました。
悔しかった。
だからこそ、「絶対に結果を出したい」と本番へ。そして、見事1位という結果をのこしました。
一方、目標へ届かなかった学生もいます。理容ミディアムカットに出場した髙橋沙優さんは敢闘賞。

昨年も敢闘賞だった髙橋さんは、今年こそ全国大会へ行くことを目標に練習してきました。
前日の練習でも、支えとなってきた金子先生から、「刈り上げ部分にムラがある。臆さずに刈り上げを切ろう」とアドバイスを受けていました。金子先生は髙橋さんについて、「技術力は全国レベル」と評価しています。だからこそ、課題として挙げたのが気持ちのコントロールでした。
本番では緊張から、課題としていた刈り上げ部分に少し消極的な部分が見えたといいます。大会での作品自体は、練習でうまくできたときに近い仕上がり。それでも結果は敢闘賞でした。
金子先生は、「この結果を受け止め、これからの理美容人生にプラスにしてほしい」と話します。まつ毛エクステンションに出場した久保田柚希さんも、今回は入賞に届きませんでした。

昨年の敢闘賞から、今年こそ全国大会へ。そのために毎日の練習を続け、苦手にも向き合ってきました。
大会後、先生のもとへ行き、「申し訳ございません」と伝えたそうです。
先生によると、今回は減点が重なったことが結果に影響しただろうといっていました。努力したからといって、必ず望んだ結果になるとは限りません。大会は、その厳しさも学生たちに突きつけます。
表彰式後、「私って中途半端なんだ」と悔しさを先生へ伝える学生もいました。名前を呼ばれなかった学生たちの悔しさも、言葉以上に表情に表れていました。
それでも印象的だったのは、その後です。自分自身は悔しい。
それでも、結果を残した仲間には、「おめでとう」と声を掛け、祝福する姿がありました。喜びだけではありません。
悔しさも、涙も、すべてが入り交じった表彰式でした。
全国大会へ進む8名、そしてともに戦った仲間たち
今回の関東地区大会では、8名が全国大会への出場権を獲得しました。
美容ワインディング、理容ワインディング、クラシカルバックバリエーションセットでは、作品展示の段階から先生方も結果を期待するほどの仕上がりだったといいます。

全国大会へ進む8名にとって、ここはゴールではありません。
次は関東地区の代表として、全国の舞台へ挑みます。
そして、その8名の背後には、同じ場所で練習してきた仲間たちがいます。一緒に大会へ向けて練習した学生。
応援席から声が枯れるほど名前を呼んだ学生。
結果が届かず、悔しさを抱えながらも「おめでとう」と伝えた学生。そして、毎日学生たちの技術と向き合ってきた先生方。
今回つかんだ8枚の全国大会への切符は、出場する8名だけの時間でつくられたものではないように感じました。

嬉しさも、悔しさも、次の挑戦へ
全国大会への切符をつかんだ学生。
あと一歩届かず、悔しさを抱えた学生。
結果はそれぞれでしたが、この大会に向けて積み重ねてきた時間や経験は、これからの学生たちの力になっていくはずです。

全国大会へ進む8名にとっては、ここからが新たなスタート。
そして今回、目標に届かなかった学生たちにとっても、この悔しさが次の成長につながっていきます。
理美容甲子園2026。
アイムの挑戦は、まだ続きます。
全国大会へ挑む8名、そしてこれからも技術を磨き続ける学生たちへの温かい応援を、よろしくお願いいたします。
